Skip to content(本文へジャンプ)

  1. HOME
  2. M&Aの知識
  3. 財務DDの基礎知識
  4. 賃貸借契約に関する注意点

賃貸借契約に関する注意点

①賃借不動産に関する調査

不動産の賃貸借契約という場合、事務所や倉庫の建物賃貸借であることが一般的ですので、ここでは建物賃貸借を前提として解説を行います。建物賃貸借契約において、重要な調査事項は以下の事項となります。

  1. (1)定期借家契約であるか
  2. (2)賃借人の中途解約条項の有無
  3. (3)違約金条項の有無
  4. (4)賃料滞納の事実の有無
  5. (5)無断転貸の事実の有無

(1)定期借家契約であるか

普通借家契約は、借地借家法の規定により、賃貸人が更新拒絶を行い契約を終了させるためには、正当事由が要求されます(借地借家法28条)。そして、判例上、賃貸人が更新拒絶を行うためには、極めて厳格な正当事由が要求されるため、賃貸人がこの正当事由を満たすことはほとんどありません。そのうえ、たとえ賃貸借契約において賃貸期間が定められていたとしても、賃貸人の有効な更新拒絶がなされない限り、借地借家法により賃貸借契約は法定更新されることになります(同法26条)。

このように、賃借人は、借地借家法の規定により手厚く保護されているため、契約違反を犯さない限り、原則として賃借人が望む限り半永久的に建物を賃借することができます。そのため、普通借家契約の場合には、契約の有効期間はさほど重要な意味を有しません。

しかし、定期借家契約の場合には異なります。定期借家契約とは、一定の要件を満たした場合に、賃貸借契約が法定更新などされることなく、定期に終了する借家契約を意味します。仮に対象会社が定期借家契約を締結している場合には、賃貸人が契約期間満了時に再契約を行うことに合意しない限り、強制的に退去を迫られることになります。このことによる移転費用や原状回復費用は、かなりの支出となることは否めません。そのため、賃貸借契約が定期借家であるか普通借家であるかについては、十分注意しなければなりません。

(2)賃借人の中途解約条項の有無

賃借人の中途解約権が契約上認められているか否かは、重要な検討事項となります。対象会社の買収を行った後、これまで対象会社が利用していた賃借物件は引き払い、買主が利用している事務所に管理部門を統合するケースは頻繁に見られます。このような場合、賃借人が中途解約を行うことができなければ、不要な賃料を支払い続けなければなりません。仮に賃貸借契約において中途解約を認めない旨の規定がある場合には、事前に中途解約に了承する旨の賃貸人の同意を取り付けておく必要があります。場合によっては、この同意をM&Aの前提条件とすることも考えられます。

(3)違約金条項の有無

賃貸借契約開始時にフリーレント期間を設けた場合、初回契約満了時までの間の中途解約などにつき、フリーレント期間に相当する賃料額の違約金を課されることが往々にして見られます。このような違約金条項が存在する場合、中途解約条項が存在していたとしても、実質的に中途解約を行うことができないという状況に陥ることがあります。

また、フリーレント以外の事由であっても違約金条項が設けられていることもありますので、賃貸借契約を引き継ぐ際には、違約金条項が存在しないか注意する必要があります。

(4)賃料滞納の事実の有無

判例上、特段の理由なしに賃料を3ヶ月程度滞納した場合、賃貸人に解除権が発生すると考えられています。そのため、仮に対象会社において賃料滞納が3ヶ月以上なされている場合には、賃貸借契約が解除されてしまうおそれがあることに配慮しなければなりません。このような場合に対象会社が従前利用していた賃貸借契約を継続する意向がないのであれば、滞納賃料額や原状回復相当額を買収対価決定時に調整すれば足りますが、継続利用する場合には何らかの対処が必要となります。確実な対処法としては、賃貸人から解除の意思表示がなされる前に、滞納している賃料を全て支払うことが考えられます。また、M&A実施後に滞納賃料を直ちに支払うことを条件とし、賃貸人から解除権を行使しない旨の合意書を取得するという方法も考えられます。

(5)無断転貸の事実の有無

一般的な賃貸借契約には無断転貸を禁じる旨の規定が設けられています。また、このような規定が賃貸借契約に設けられていなくても、無断転貸が解除事由となることは民法によっても規定されています(民法612条)。そのため、賃貸借契約の賃借人の名義と、実際に利用している者とが異なる場合には、無断転貸を理由として解除されるおそれがあるとして、注意が必要となります。賃貸物件を借り入れる際に与信が足りず、第三者に名義を借りるという状況も散見されます。

仮に無断転貸状態が発覚し、当該物件を継続利用する予定である場合には、賃料滞納の場合と同様に、賃貸人から無断転貸を理由とした解除権を行使しない旨の合意書を取得する必要があります。

セミナー情報

2015年08月28日(金)
13:00~17:00
M&Aにおける『知的財産実務』の勘所
2015年08月07日(金)
13:00~17:00
専門家を使いこなすための『M&A』の知識
終了いたしました 2015年03月06日(金)
13:00~17:00
専門家を使いこなすための『M&A』の知識

ページの先頭へ