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関係会社のチェックポイント

① 関係会社間の資本関係

対象会社が子会社や孫会社、関連会社などを有していることは、しばしば見られます。また、対象会社自身が子会社等を有していなくても、対象会社の大株主が他の会社の株式を有しており、当該会社と対象会社との取引関係が認められることがあります。このような対象会社と一定の資本関係を有する会社をここでは便宜上関係会社と呼びます。

対象会社と関係会社とでは、資本関係や取引関係において密接な状態である傾向が高いといえます。そのため、対象会社に対するM&Aを実施する際には、対象会社を取り巻く関係会社の理解が不可欠となります。

まずは、対象会社が有する子会社や関連会社の調査を行うことになります。貸借対照表が適切に作成されているのであれば、資産の部に関係会社の株式が標記されることになります。これを手がかりとすると共に、対象会社に対する資料要求やヒアリングなどにより、子会社や関連会社の存在及び持株比率等を明らかにしていきます。

また、対象会社の大株主が有している会社については、主に対象会社の社長や大株主に対するヒアリングによって明らかにする必要があります。これらは決算書上から窺い知ることができない可能性が高いため、注意が必要となります。

このようにして把握した対象会社を取り巻く関係会社について、ヒアリングベースではなく、できる限り客観的な資料によって資本関係を確定していきます。通常は、関係会社の株主名簿、登記簿謄本や確定申告書などを用いることになります。

② 関係会社の役割

関係会社の全貌と資本関係を把握した後、対象会社における当該関係会社の役割を把握することになります。対象会社の業務委託先として特定の事業を行っている場合もありますし、対象会社の資産管理会社であることもあります。また、対象会社とは全く無関係の事業を営んでいることも、往々にして見られます。

これらの役割を把握する作業は、主に対象会社に対するヒアリングによって行われます。また、可能であれば財務デュー・デリジェンスと情報共有を行い、関係会社との取引経緯が決算書等に現れていないか確認する作業も行った方が良いでしょう。対象会社と無関係の事業を行っていると説明を受けたにもかかわらず、決算書上多額の取引を行っていることが判明した場合などには、ヒアリングで得た回答が正しいものであるのか検証する必要も生じます。

このような過程により、関係会社の役割を把握した後、対象会社と関係の深い関係会社については、さらに対象会社との取引実態を精査することになります。

③ 関係会社の取引

関係会社との取引実態を把握するためには、まず対象会社との間で締結している契約書を検討することになります。もっとも、対象会社が非上場企業である場合、子会社や関連会社との間で契約書を取り交わさずに一定の取引を行っていることも散見されます。また、形式上契約書を締結しているものの、実際に行われている取引は、契約書の内容に沿っていないということも、しばしば見られます。

そのため、調査の出発点は契約書となりますが、実際には発注書、請求書やヒアリングなども交えて、総合的な資料から関係会社との取引実態を把握することになります。

なお、関係会社との契約書内に、経営主体や株主の大半が変更された場合等に契約の相手方に解除権が認められるような条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)が存在する場合には注意が必要です。対象会社の買収によって付随して買収対象となる子会社である場合はさておき、それ以外の場合には、M&A実施後に関係会社との取引が断絶してしまうおそれがあります。

また、仮にチェンジ・オブ・コントロール条項が契約書に存在しなかったとしても、事実上M&A実施後に取引が終了するおそれがある場合には、注意が必要となります。たとえば、関係会社と対象会社が継続的売買取引を行っている場合、個々の契約の単価や数量などは、その都度関係会社と対象会社との合意が成立することによって成立します。そのため、仮にM&A実施後に関係会社が従前どおりの単価で仕入れることを拒否した場合、事実上取引関係は断絶することになります。

契約書を精査した結果、特定の関係会社との取引が重要であり、この取引形態に変化があれば事業計画に多大な支障が出ることが予測されるときには、当該取引がM&A実施後も同様に継続するよう手当を行う必要があります。

具体的には、当該関係会社との間で覚書を締結し、M&A実施後も契約を終了させることがないこと、製品単価や数量などの取り決めを行うこと、最低月間取引数量を定めておくことなどの合意を行う必要があります。関係会社は、外部企業と異なり、M&A実施前であれば容易に上記覚書を締結することが可能であるため、必ず書面で合意形成を行っておくべきです。「今までどおり取引を行うから大丈夫」などという言葉を信じてM&Aを実施し、その後何らかの理由によって売主と買主の関係が悪くなり、取引停止となるケースは頻繁に見られます。M&Aを実施する際には、このような細部にも十分留意する必要があります。

④ 関係会社自体に対するデュー・デリジェンス

関係会社が対象会社の子会社、関連会社、孫会社などである場合、対象会社を買収することにより、これらの会社の全部もしくは一部についても取得することになります。それでは、これらの関係会社自体についてもデュー・デリジェンスを実施する必要があるのでしょうか。

これは、関係会社単体としての重要性や、対象会社との取引の重要性によって判断される問題となります。仮に、対象会社と同程度の売上高や純資産が存在する子会社であれば、対象会社のみならず当該子会社についても十分デュー・デリジェンスを実施しなければなりません。一方で、たとえ子会社であっても休眠状態であったり、僅かな売上高しかあげていない会社である場合には、デュー・デリジェンスの対象から除外しても問題ないという結論に至ります。

また、質的に重要である場合、たとえば、当該子会社が対象会社の事業継続の上で極めて重要な商品の仕入業務を行っているなどの事情がある場合には、当該子会社のデュー・デリジェンスを実施することも考えられます。この場合には、当該子会社全体のデュー・デリジェンスを実施するのではなく、当該子会社の商品納品・仕入業務にスコープを限定してデュー・デリジェンスを実施した方が、効率的といえるでしょう。

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