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法務DDの目的(M&Aの障害となる法律上の問題点)

M&Aの障害となる法律上の問題点としては、その原因という観点から以下のように分類することができます。

  1. (1)法人であることによる問題点
  2. (2)会社法等の法律による問題点

(1)法人であることによる問題点

M&Aの取引対象となるものは、通常法人となります。事業譲渡や会社分割というように、法人の一事業が譲渡対象となる場合も考えられますが、その場合であっても取引の相手方は法人であることが一般的でしょう。

法人とは、自然人と並んで市民間の法律関係において法的人格を有する存在をいいます。法人は、近代市民社会における経済的活動を支えるため、人間が便宜的に創設したものです。このように、法人は便宜的に創設した制度であるため、自然人のように目に見える訳でもありませんし、法人自体と会話をすることもできません。代表取締役のような法人を代表する自然人を介して、法人は取引主体として活動できるようになります。

ここで一般的なM&A手法である株式譲渡のケースを想定してみましょう。売主から「是非とも買って欲しい法人がある」「決算内容は・・・で、将来利益も十分見込まれる」などと資料の開示を受け、熱心な説明を受けたとします。企業の業績は非常に好調で、事業の将来性も明るいものです。あなたは、売主が説明する法人を是非とも購入したいと、気持ちが傾いています。

ここで質問です。あなたは、何をもってその法人が実在していると判断しているのでしょうか。信頼できる売主の言動でしょうか。決算書の存在でしょうか。

通常の場合、現在事項全部証明書(商業登記簿謄本)によって、その法人の存在を確認することになるでしょう。では、あなたが確認した現在事項全部証明書は、コピーであって変造されたものであるというおそれはありませんか。また、以前法人として存在していたものの、既に破産等によって解散しているというおそれはありませんか。

既に述べましたとおり、法人は、法律によって創設された制度であり、実際に触れたり、見たりすることができません。そのため、そもそも購入しようと考えている対象が実在するのか、という取引のスタート時点からも問題となりうるのです。

もう一つ質問を行いましょう。株式譲渡を行う際に、あなたは、何をもって売主が株式を有していると判断しているのでしょうか。売主の言動でしょうか。それとも、確定申告書の「同族会社等の判定に関する明細書」の株式数等の記載でしょうか。

現在の株主の特定という問題は、株式譲渡によるM&Aの重要な検討事項になることが往々にして見られます。現在の株主を特定するためには、設立当初の資料から現在に至るまでの資料を閲覧検討する必要があり、弁護士でも容易に現在の株主を特定できないケースが散見されます。このように現在の株主は、確定申告書の「同族会社等の判定に関する明細書」の株主数等の情報などによって決せられるものではありません。

当然のことながら、株式を保有していない者から株式を購入することは、原則としてできません。しかし、上記のように本当に売主が株式を保有しているのかを特定することが困難であることから、M&Aにより法人を買収したと考えていたところ、実際には何も買収していなかったという結論も実際に存在します。このような事態は、法人の売主が意図的に騙したわけではなくても、売主と買主に法的な知識が不足していることにより生じることもあり得ます。

このように、M&Aは、取引対象となるものが原則として法律により創設された法人であり、五感によって知覚しにくいという問題点を有しています。言い換えれば、実際に触れたり見たりできる商品等と比べると、「騙される可能性が高い取引」であることが分かると思います。

そのため、極力騙されるおそれを軽減するため、法律の専門家である弁護士によって法務デュー・デリジェンスを実施することになるのです。そして、法務デュー・デリジェンスの結果、問題が発見された場合には、その問題点を解消するための法的アドバイスを弁護士が行うことになるのです。

(2)会社法等の法律による問題点

M&Aを実施する際には、会社法のみならず、金融商品取引法や独禁法等、多くの法律に抵触しないか目を光らせる必要があります。M&Aは、会社とそれを取り巻く多数の利害関係者に影響を与える可能性のある取引であるため、これらの者との利害調整を行う必要があるからです。このような法律上の手続に則らずに実施されたM&Aは、最悪の場合にはディールそのものが無効や取消しになるおそれがあります。

M&Aの対象会社が特定の許認可事業を行っている場合には、その許認可がM&A後も有効に活用できるか検討する必要があります。また、仮に当該許認可を承継することができたとしても、一定期間事業を停止しなければならないとすれば、対象会社の事業価値を損なうことは明白です。

このように、M&Aには通常の商取引では注意を払わない法律にも留意する必要があります。これらの法律を検討した結果、当初予定していたスキームでは法的に問題があると判明した場合、別のスキームを用いることなどを検討しなければなりません。

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