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引当金

将来において何らかの費用等が発生する場合において、将来どの程度の負担が生じるのかを見積もって、あらかじめ計上しておく負債のことを一般的に引当金と呼んでいます。すでに原因となる事実が発生していて、将来発生する可能性が高く、金額の見積りも可能であれば、そのような負債を引当金として計上することが会計ルールでは求められているのです。

監査法人の監査を受けている上場企業の場合と異なり、非上場企業の場合にはこういった引当金を適切に見積もって計上しているということは極めてまれです。ですから、財務デュー・デリジェンスにおいて、このような引当金を漏れなく把握した上で、適切に負債として織り込むことが必要になります。まったく計上していない状態からのスタートとなるため、影響額がかなりの金額になり、純資産の大幅な毀損につながるケースもしばしばです。

①人件費に関連する引当金

引当金の中でも最もポピュラーで代表的なものが、人件費に関連する賞与引当金、退職給付引当金、役員退職慰労引当金といった引当金です。これらの引当金は、賞与制度や退職金制度が存在しており、かつ一定の支給実績があれば、きちんと引当金を計上すべきものなのですが、財務デュー・デリジェンスを行う前においては、貸借対照表のどこを探してもそういった引当金は見つけられないケースがほとんどです。

これらの引当金も見積りについては、基本的には規程の内容を踏まえて金額を算出することにより行うのが通常です。賞与引当金などは、調査日時点において既に賞与が支給されており、実際発生額が判明していることもあるため、そのような場合には実額を織り込むこともありますが、退職関係は将来の話になるため、基本的には規程に基づいて金額を算出します。

ここでひとつ知っておきたいのが退職給付引当金の計算方法です。退職給付引当金は、厳密には年金数理計算という統計的手法やシミュレーションを用いた非常に複雑な計算によって将来負担分を計算する必要があり、上場企業などは決算の都度、外部の専門家にそういった計算を委託して計算結果を入手しているのですが、財務デュー・デリジェンスにおいては同様の取り扱いが困難なケースも多く存在します。もちろん、大規模な企業の買収などで、そういった計算も厳密に行う必要がある場合には、あらかじめそのような計算の外部委託もアレンジしておくべきですが、比較的小規模企業の買収案件においては、そこまで手間のかかることを行う余裕はありません。

そのため、通常は規程に基づいて、期末要支給額(仮に基準日時点で退職したらいくら支給するのかを基礎として算定した額)を退職給付引当金の見積りとします。この取り扱い自体は、小規模企業の場合の簡便法としては一般的なものであり、大きな問題はないのですが、前述した厳密な見積り方法と比較して、将来においてどのくらい支払い義務が増加していくかという視点は織り込まれていないため、負債計上額が低めに出てしまうという性質を持っていることは理解しておく必要があります。

ですから、財務デュー・デリジェンス報告書をみるときには、退職給付引当金について、どのような見積方法(原則的方法か簡便法)を適用しているのかを意識してみるようにすべきといえます。

②資産除去債務の取扱い

引当金と似ているもので、近年話題になっている会計ルールのひとつに資産除去債務というものがあります。もともとは環境問題が深刻化していく中で、企業が負っている環境に対する責任という観点から、企業が認識すべき環境債務という議論が深まっていき、ついにはそういった環境債務を実際の負債として貸借対照表でも負債計上しようという議論になったのが、資産除去債務のはじまりです。

しかし、実際には、会計ルールを整備する際に、そういった環境債務に限定することなく、「法律上の義務」と「契約上の義務」を対象として、何らかの資産を将来撤去する際に生じる負担を、あらかじめ負債として計上するように求めることとなりました。そのため、実際には土壌汚染などの環境法制に対応する義務のみならず、定期借地契約やオフィスの賃貸借契約に基づく原状回復義務なども、こういった資産除去債務として負債計上すべき対象として取り扱わなければなりません。

こういった背景もあり、財務デュー・デリジェンスにおいても、資産除去債務の把握は重要なテーマのひとつになります。具体的な見積方法については、将来の見積りや割引計算も含む複雑なものになるため、詳細を割愛することにしますが、たとえば地方の支店や事業所を多く有している場合や、小売業などで多店舗展開している場合などは、こういった資産除去債務の影響も大きくなりがちであるため、気にしておく必要があります。

③その他の引当金

そのほかにも引当金と名の付くものはたくさんあります。基本的には、将来負担が相当程度確実に見込まれる場合には、引当金を負債として認識する必要があるので、項目が多岐にわたってしまうのです。

たとえば、販売済みの製品について一定期間にわたり無償での保証を行っている場合は、そういった義務の履行により生じると見込まれる将来負担を製品保証引当金として計上するケースがあります。また、個別受注形態をとっているビジネスにおいて、何らかのトラブル等により将来において赤字案件となることが確実に見込まれる場合には、将来の赤字負担見込額を受注損失引引当金として計上します。その他、状況に応じて引当金として認識すべき負債は漏れていないだろうか、という意識を持っておくことが大事です。

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