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負債項目

①最も難しい網羅性の検証

負債項目についての重要なポイントは「網羅性」です。すべての負債がもれなく貸借対照表に計上されているかどうか。負債の計上漏れが生じてしまうと、その分だけ実態純資産を過大評価することにつながってしまいます。ですから、負債は網羅性が最も重要になるのです。

とはいえ、実のところ、網羅性の検証ほど難しいものはありません。資産のところで考えた実在性の裏返しなのですが、実在性と網羅性、どちらの検証がより難しいかと問われれば、間違いなく網羅性の検証の方が圧倒的に難しいという答えになります。たとえば、現金が100円ある、ということを検証したければ、実際にその100円を確かめれば、実在しているということは言うことができます。一方で、その100円以外には現金はないということを検証したければどうすれば良いでしょうか。これはなかなか難しい問題です。どこまで調べても、絶対にないと言い切ることは困難だからです。これが網羅性の検証の難しさです。他にはないということを100%言い切るのは極めて難しく、真の意味で網羅性の検証することは不可能なのです。無いことの証明は悪魔の証明であると言われる所以です。

②負債残高に対する一般的な手続き

では、そのような極めて難しい網羅性の検証について、財務デュー・デリジェンスではどのように考えていくのでしょうか。基本的なアプローチとしては、限られた時間の中で、一定の限界を認識しつつ、メリハリをつけて重要ポイントにフォーカスしていくというものです。これまでも何度も説明しているように、財務デュー・デリジェンスは様々な制約の中で行ってくものです。たとえば本当は基準日において計上しておかなければならなかった経費の未払金が漏れてしまっている可能性があるといった細かい点にこだわりすぎて、時間ばかりを浪費するわけにはいきません。

ですから、ある程度は割り切りながら、メリハリをつけて手続きを進めることになります。仮にリスクが顕在化した場合に影響が大きくなると予想されるそれらのテーマにフォーカスしつつ、その他のテーマについては、財務デュー・デリジェンスの時間的制約の中で行い得る手続きにとどめるというのが、基本的なスタンスとなるので、この点は理解しておくべきです。

たとえば、借入金残高などについては、銀行からの残高証明書があるはずですから、そういった原始証憑との照合なども行いますが、買掛金残高や未払金残高などについては、そういった詳細な手続きを行う余裕は通常はありません。したがって、たとえば最低限システム残高との整合性がとれているかどうかや、回転期間の分析を行うことにより、残高が支払サイトと大きくずれるなどの異常は生じていないかといった点を中心に検討を加えていくことになります。

時間的余裕がある場合には、これらに加えて未計上債務の有無を確かめるための追加手続きを実施することもあります。財務諸表監査でもよく行う手続きですが、期末日後における支払い履歴から辿って、基準日時点において債務として未払計上すべきもので計上漏れとなっているものがないかどうかをレビューするというものです。こういった手続きはある程度、負債の網羅性を検証する上で有用ではありますが、手間がかかることも事実であるため、すべての財務デュー・デリジェンスにおいて行われるとは限りません。

③借入金についての留意事項

ここで少し毛色の違った話をしておきます。借入金については、その残高だけではなく、調達の条件なども十分に確認してもらうようにしておいた方がよいと思われます。基本的な借入条件や調達金利はもちろんですが、注意しておきたいのが財務制限条項などのコベナンツの有無です。たとえば、赤字が継続した場合や純資産額が一定基準額を下回った場合には、対象会社が期限の利益を喪失し、約定における弁済期限前でも、銀行が早期弁済を迫ることが可能になるといったような条項のことです。こういった特殊な条項が存在してないかどうかは、残高とは別に、事前にきちっと確認しておく必要があります。

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2015年08月28日(金)
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2015年08月07日(金)
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専門家を使いこなすための『M&A』の知識
終了いたしました 2015年03月06日(金)
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専門家を使いこなすための『M&A』の知識

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