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有形固定資産(減損会計等)

①減損会計の適用

有形固定資産についても評価の妥当性を検討する必要があります。それが減損会計の適用です。簡単にいえば、収益性が低下してしまって、投資回収が困難になってしまった有形固定資産については、その評価額を時価まで落として、落とした分を評価損にしなければならないという会計ルールです。上場企業の場合には、このような減損会計のルールを、決算の度に厳格に適用しているはずですが、非上場企業となると、やはりそうはいきません。基本的には減損会計など、一度も考えたこともないという企業がほとんどであると言って差し支えありません。ですから、財務デュー・デリジェンスにおいては、避けて通ることのできないテーマであるとともに、取り扱う金額が大きくなりやすいために、修正が生じる場合の影響も重要なものになりやすいテーマであるといえます。

減損会計について考えるに当たっては、有形固定資産を大きく2つに分けて考える必要があります。1つは、事業収益で投資回収をしようとしている有形固定資産、もう1つは、事業からは外れており売却処分でしか回収の余地がない有形固定資産です。ここからは、それぞれについて特徴を説明していきたいと思います。

Ⅰ 事業収益で投資回収を予定している資産

このケースでは、まずどういう単位で資産をグループ化するかを考えます。たとえば、事業単位、工場単位といった括り方もひとつですし、小売業などにおいては店舗単位という見方もあるでしょう。どのようなビジネスを行っているかによってこの辺は変わってきます。

その上で、それぞれのグループごとに、業績動向を把握します。ここで、きちっと営業黒字を確保できているということであれば、事業収益によってうまく投資回収が進んでいるということになりますから、減損といったことをシビアに考える必要はありません。一方で、営業赤字が継続しているといった場合には、少し考えなければいけません。もちろん、赤字だから即座に減損ということではありませんが、今後の見通しを踏まえて回復する可能性があるのかどうかを厳しく査定しなければなりません。その結果、今後も収益性が悪化した状態が継続するという見通しになる場合には、将来収益で回収できる部分を除いて、残りについては減損処理を行わなければなりません。

また、原状の赤字水準が大きくない場合でも、たとえばある工場について、すでに廃止や閉鎖の意思決定を行った場合などは、事業収益で回収していくという前提が崩れたことになるため、このような場合にも減損処理を検討する必要があります。

Ⅱ 売却処分でしか回収の余地がない資産

一方で、遊休不動産のように、そもそも事業収益での回収を行うことが不可能であり、今後の回収手段は売却くらいしか考えられないような資産を保有していることもあるでしょう。このような場合には、結局のところ、その資産がいくらくらいで売却できる見込みなのか、すなわちその有形固定資産の時価が、対象企業にとっての回収可能金額になるわけですから、基本的には時価で評価するという考え方になります。

ただし、工場で使用する機械装置などは、時価といってもマーケットが存在するわけでもなく、なかなか簡単に売却処分できるわけではないといったケースも多いでしょうから、そのような場合には、厳しめの資産査定を行うという観点から、もはや価値なしということでゼロ評価を行うこともしばしばです。

一方で、不動産については、何らかの形で時価を見積もることができるため、時価を算出した上で、時価で評価することになります。なお、不動産の時価といった場合、真っ先に思い浮かぶのが不動産鑑定士による不動産鑑定評価額ではないかと思います。最も第三者的で、客観的な時価であることに間違いはないのですが、実際には一定のコストと時間がかかってしまうことを考慮しなければなりません。

したがって、対象会社の資産に占める当該不動産の割合が極めて大きい場合などは、例外的に不動産鑑定評価まで実施することもありますが、そこまでは行わないのが通常ケースと考えておいてよいでしょう。

その場合には、代替的な評価手法として、近隣の公示地価を参照する方法、相続税における路線価評価額を用いる方法、固定資産税評価額を用いる方法などの評価手法を適宜使い分けながら、評価額を算出することになります。最も手っ取り早いのは、固定資産税の通知書を参照しながら、固定資産税評価額を基礎とする方法ですが、あくまでも簡便的な時価評価手法であることは認識しておくべきです。

②担保設定状況

対象会社が保有する不動産は、銀行からの借入金の担保として、抵当権が設定されていることもあります。もちろん担保になっているからといって、即座に事業上の制約となるわけではありませんが、何重にも抵当権が設定されている場合には、事前に適切に把握しておかないと、買収後において機動性を損なう結果にもつながりかねません。遊休不動産だから早めに資金化してしまおうと考えて売却を検討したとしても、抵当権がネックになってしまうこともあるでしょうし、抵当権を抹消できたとしても、結局売却代金はそのまま銀行への返済に充当しなければならないということもあるでしょう。ですから、財務デュー・デリジェンスの中で、不動産に対する担保設定状況を適切に把握しておくことが重要になるのです。

③リース契約の取扱い

通常の企業が当たり前のように利用しているリース契約ですが、これについても注意が必要です。リース契約の中には、形式的には賃貸借の形をとっているものの、解約不能であったり多額の中途解約違約金条項の存在によって、実態としては資産購入と同様の契約も多く存在します。こういったリース契約については、リース資産という形で資産計上するとともに、将来にわたる支払義務をリース債務として負債計上するのが現在の会計ルールです。しかし、非上場企業の場合には、こういった会計ルールをきちんと適用していないケースも多いため、財務デュー・デリジェンスの中でリース契約の全体像を把握した上で、計上漏れとなっているリース資産とリース債務を把握することが必要となります。

リース資産とリース債務を適切に認識することそれ自体は、何ら純資産の毀損を招くものではありません。資産と負債が両建てで計上されるだけの話ですから当然です。問題になるのは、資産として認識したリース資産の方の価値が、もう資産の使用見込みがない等何らかの理由で毀損しているにも関わらず、将来の支払義務だけが残ってしまっているケースです。このような場合には、価値のないリース契約だが、仮に中途解約したとしても結局は満期までのリース料相当額を支払わなければならないという形で残ってしまっている支払義務相当額の分だけ、純資産を毀損される結果につながってしまうのです。

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