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有形固定資産(実在性、減価償却)

①有形固定資産の実在性

有形固定資産の実在性で最も問題となりやすいのは、除却漏れです。現場からはすでに取り除かれてしまっているにも関わらず、なぜか固定資産台帳には残ってしまっているというケースです。こういった事態は、現場と管理部門の情報共有がうまくいかない等の理由によって、意外と頻繁に起こってしまうものです。つまり、有形固定資産の現物と帳簿である固定資産台帳とが整合していない状況です。

しかし、仮にこのようなことが起こったとしても、定期的に現物と台帳の照合、すなわち固定資産実査を固定資産管理の一環として実施していれば、そのプロセスを通じて、このような除却漏れはタイムリーに把握され、その都度適切な修正が施されることになり、大きな問題には発展しないものです。したがって、除却漏れの有無についてどの程度のリスクがあるのかを把握する意味で、少なくとも固定資産実査の実施の有無を含む固定資産管理体制については、全般的に把握しておいた方がよいでしょう。

もっとも、内部統制が脆弱な非上場企業の場合には、往々にしてこういった適切な管理は行われていません。そのような場合、除却漏れの有無について十分な検討を行うのは極めて困難であると認識しておきましょう。固定資産実査は、実のところかなり骨の折れる手続きになります。定期的に行っている企業であったとしても、年に1回などと決めて、循環的に行うのがやっとです。ですから、仮に対象会社が固定資産実査をやっていなかったからといっても、財務デュー・デリジェンスの中でそれを実施するのは非現実的であるといえます。そのような場合には、固定資産台帳の登録の仕方にもよりますが、場所別や事業別で登録している場合に、すでに閉鎖した事業所に係るものや廃止した事業に係るもので、いまだに台帳に残ってしまっているものがないかどうかといったような形で、怪しそうなところに絞って検討を加えていくのが最低限の手続きです。

ですから、固定資産の除却漏れの有無については、多くの場合、せいぜいこの程度の手続きしか行っていないということを十分に認識しておいた方がよいでしょう。

なお、財務デュー・デリジェンスにおいても、時として現物の確認のために工場などに赴く場合もあります。これは、たとえばコアな設備が正常に稼働するかどうかが買収のキーポイントになるような場合に、財務デュー・デリジェンスというよりは、事業デュー・デリジェンスとして実施する現場視察に財務デュー・デリジェンスチームも同行するようなケースが該当します。

②過年度における減価償却計算の適切性

上場企業ではまず考えられないことではありますが、非上場企業の財務デュー・デリジェンスでは一般的なテーマが、過年度における減価償却不足です。会計学の教科書には、減価償却は固定資産の取得原価を「規則的」に費用配分することと記してあるはずなのですが、非上場企業においては必ずしもそうではありません。これは法人税のルールが大きく影響しています。実は、法人税の世界では、決められた金額よりも多く減価償却費を計上することは、納税額が減少する結果につながるため禁止されているのですが、反対に決められた金額よりも少なく減価償却する分には、勝手に税金を多く払うだけですから、特に問題視されないのです。

上場企業の決算は法人税に基づいて行われています。そうするとこういうことが起きます。多少税金を多めに支払ってでも、赤字決算を避けたい、そのために減価償却はいったんお休みにしよう、こういった具合です。何とかして赤字決算を避けたい理由は様々でしょう。銀行からの資金調達に際して、赤字だけはまずいというケースが一般的ですが、そのほかにも公共事業の入札などに際してあまり悪い決算はよろしくないというケースもあるでしょう。いずれにしても、減価償却はこういった利益操作を行うにはうってつけなのです。なぜなら、過去において設備投資した時にキャッシュアウトは既に生じてしまっているものですから、その後でいくら減価償却費の金額をいじったからといって、その時点でのキャッシュ・フローは、税金の支払額以外は何も変わらないのです。

こういった背景で、非上場企業の有形固定資産の金額は大きく歪んでいることがしばしばであり、財務デュー・デリジェンスにおいて、過年度から累積してきた膿を一気に吐き出すということが必要になるのです。

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