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売掛債権

①営業関連項目のポイント

棚卸資産や買入債務なども含め、営業関連項目について最も重要なポイントは、ビジネスモデルの十分な理解です。現金預金は、どのようなビジネスを行っていたとしても現金預金ですが、売掛債権や棚卸資産といった営業関連項目は、対象会社がどのようなビジネスを営んでいるかによって、その内容が全く変わってくることになります。

スーパーマーケットを営む小売業のように、ほとんど現金商売といった場合にはそもそも売掛金などは、クレジットカード会社向けに限定的にしか発生しないでしょうが、その一方で部品メーカーなどの製造業の場合には、たとえば売掛金が1ヶ月後に回収できると思いきや、そこから数ヶ月後に決済される手形を受け取り、実際には現金での回収は数ヶ月先といったケースも珍しくないでしょう。

棚卸資産についても、見込み生産が中心で完成品の在庫を多く抱えるような業態もあれば、受注生産形態で完成品在庫はほとんどないものの、製造途中の仕掛品在庫を多く抱えるようなビジネスもあります。その一方で在庫はほとんど持たないというビジネスもあるでしょう。

このように売掛債権や棚卸資産といった営業関連項目は、対象とするビジネスモデルによる違いが非常に際だつものであるため、大前提として、対象とするビジネスに対する理解が極めて重要なものとなります。

ビジネスモデルの基本構造、業界特有の商慣習、取り扱う商製品の特徴、取引先の属性やリスク、主要取引先ごとの回収条件など、内容を検討する上で、知っておかなければならない特有の事項が多くあります。

ここで気をつけておかなければいけないのが、必ずしもみなさんが依頼した公認会計士などの専門家が、今回M&Aを検討している対象のビジネスについて精通しているとは限らないことです。もちろん、理想は対象となっているビジネスに強い公認会計士が財務デュー・デリジェンスを担当することですが、現実的にはそううまくはいかないことも多いのです。もちろん、専門家ですから財務デュー・デリジェンスを行うに当たって、一定の予習は行いますし、現地調査においても事業に精通した担当者から上手く情報を引き出すことには長けていますが、やはり長年そのビジネスに精通している方に比べれば付け焼き刃的な感じになってしまうのは、致し方ないところです。

そう考えると、場合によっては依頼者である買主側の方が、ビジネス事態には精通しているということが往々にしてあるものです。特に、同業種のM&Aのケースにおいてはそれが顕著ですし、異業種の場合であっても、財務デュー・デリジェンス以前の調査過程において入手した情報などが意外と貴重だったりするものです。ですから、依頼者である買主側からも積極的に財務デュー・デリジェンスチームに、自らが持っている情報を共有するという姿勢が、効果的かつ効率的な財務デュー・デリジェンスを進めるためには肝要であるといえます。ぜひ営業関連項目の共通ポイントとして、この点を意識してみてください。

②売掛債権の実在性

財務デュー・デリジェンスにおいては、売掛債権の実在性の検証には限界があると考えておいた方が無難です。財務デュー・デリジェンスは一定の制約条件のもとで実施する調査ですから、財務諸表監査の場合に行う得意先への直接確認などの手続きについては、通常省略されます。真の意味で売掛債権の実在性を検証するには相当の手間がかかるものです。もちろん、詳細な調査を行わずとも、疑義が生じているような明らかな異常点は財務デュー・デリジェンスでも検出されてしかるべきですが、悪意を持って隠蔽工作などがなされている場合には、発見はほぼ不可能です。このような財務デュー・デリジェンスの特質を十分に理解した上で、売掛債権については考えておく必要があります。何らかの特別な理由で、どうしても得意先への直接確認を実施したい場合には、メニューをカスタマイズすることも可能ですが、相応の時間と費用がかかってしまうこと、また、直接確認手続きも必ずしも万能ではないことを十分に理解しておくべきです。

ですから、実在性の観点については、個別の項目であまりこだわりすぎるというよりは、M&Aの検討プロセス全般を通じて、対応に不誠実な点はないか、資料の提出が不十分な状況が続いていないか等といった視点で対象会社を評価する方が有用ではないかと思います。

③売掛債権の評価の妥当性

財務デュー・デリジェンスにおける売掛債権のポイントは、なかなか検証しにくい実在性よりは、評価の妥当性に置かれることの方が圧倒的に多いと言えます。つまり、計上されている売掛債権が本当に回収可能なのかどうか、仮に回収不能な部分があれば、適切に貸倒引当金が計上されているのかどうか、といった点が財務実態を把握する上でも重要なポイントとなります。

このような売掛金の回収懸念リスクについては、どのようなビジネスを営んでいるか、また得意先の属性がどのようなものであるかによって、大きく変わってきます。そもそも売掛金が生じにくい現金商売の場合には、リスクは極めて限定的であるといえますし、一定の売掛金残高がある場合であっても、得意先の属性として超がつくほどの優良企業が大半のケースなどもあります。反対に、得意先が小口分散化していて、それぞれの得意先の信用力が決して高くない場合などは、ビジネスを行う上で、一定の貸倒れを覚悟しなければならないケースもあり、このようなケースにおいては回収懸念リスクについて慎重な検討が必要となります。

セミナー情報

2015年08月28日(金)
13:00~17:00
M&Aにおける『知的財産実務』の勘所
2015年08月07日(金)
13:00~17:00
専門家を使いこなすための『M&A』の知識
終了いたしました 2015年03月06日(金)
13:00~17:00
専門家を使いこなすための『M&A』の知識

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