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現金預金

①残高の実在性

現金預金については、評価について問題となることは考えにくいため、専らその実在性がテーマとなります。実在性について、財務諸表の「監査」を行うレベルで検証を行おうとすれば、手許現金や通帳などの現物資産について基準日に近い時点で実査を行う必要がありますし、銀行預金については銀行に対する直接確認を行う必要があります。

しかし、財務デュー・デリジェンスは限られた予算と時間制約の中で行っていくものであるため、通常はそのような手間のかかる実査、確認等の手続きを行うことはありません。あくまでも、対象会社が準備した現金等の現物実査記録や、対象会社が入手した銀行残高証明書等を利用して、現金預金の実在性を把握することになります。

したがって、万が一対象会社から提出された証明書等が偽造されたものであった場合には、その検証は容易ではありません。このあたりが、すでに説明したデュー・デリジェンスの限界であるともいえます。しかし、通常、現金預金残高が合わない企業というのはそう多くはありませんので、このテーマについて財務デュー・デリジェンスでの論争となることはほとんどありません。

もちろん、何らかの理由で対象会社に不正の疑いがある場合等、対象会社から提出された残高証明書をそのまま活用できないと判断される場合においては、あえて金融機関に対する残高確認手続きを財務デュー・デリジェンスチームとして独自に行うといったカスタマイズも可能です。レアケースではありますが、そういったフレキシブルな対応もしようと思えば可能なのです。

②残高の照合ができないケース

まれではありますが、現金預金残高の照合を行うことができないケースがあります。預金については、仮に対象会社が残高証明書を入手していないとすれば、対象会社に入手を依頼して事後的に入手するか、財務デュー・デリジェンスチームとして確認手続きを行うことにより、事後的にでも残高の把握を行うことができるのですが、手許現金などについてはそいうはいきません。手許現金については、通常、対象会社の内部統制の中で実施している現金実査の記録をもとにして、ある程度内部統制がうまく機能していることを前提に、残高の妥当性を検証することになりますが、管理面に大きな不安のある企業の場合、まれにそういった現金実査記録が証跡として全く保管されていないというケースがあります。これは困った事態です。現金実査記録が保管されていない場合、エビデンス不足により、現金の実在性を検証することができないのはもちろんですが、だからといって、そのことをもって現金残高が架空であるとも言えないのです。つまり、証拠が不十分なために、良いか悪いかすら判断できないという非常に曖昧な状況です。このような場合、証跡がないことをもって直ちに現金が架空であると結論づけることはありませんが、内部統制上の問題として指摘をすることになります。そのようなケースというのは、現金の管理もできない会社を買収しようとしているかもしれないわけですから、対象会社の財務デュー・デリジェンス報告書にそういった記載がないかどうか注意深く確認するようにしましょう。

③拘束預金の有無

現金預金についてもうひとつ確認しておきたいのが定期預金の拘束性です。金融機関からの借入に際して、定期預金に質権を設定して担保として差し入れる場合があります。また、質権設定をしていなくとも、実質的に担保として取り扱っているような曖昧なケースもあります。このような場合、貸借対照表には現金預金として表示されていたとしても、実質的には拘束されており引出制限がついている状態となるため、M&Aの検討に当たっては対象会社が保有する預金の中にこのようなものがないかどうかを確かめておくことも重要です。

ただし、厄介なのは、現時点において明確な拘束性がなかったとしても、将来において、いざ定期預金を解約しようとしたタイミングにおいて、金融機関から解約を拒まれるようなケースです。ですから、定期預金が一定以上ある場合には、借入残高及び借入銀行との関係に留意しておかなければならないのです。

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2015年08月28日(金)
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M&Aにおける『知的財産実務』の勘所
2015年08月07日(金)
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専門家を使いこなすための『M&A』の知識
終了いたしました 2015年03月06日(金)
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専門家を使いこなすための『M&A』の知識

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