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財務DDと法務DDの連携

財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスとでは守備範囲が異なります。そのため、両者が相互に連携することによって、お互いの弱点を補い、効果的かつ効率的なデュー・デリジェンスを実施することが可能となります。財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスとが連携することの必要性は、以下のような点で見られます。

  1. ① 要求資料の重複解消
  2. ② インタビューの重複解消
  3. ③ 調査結果の情報共有により深度ある調査が可能となる
  4. ④ 報告書の重複・矛盾解消

①要求資料の重複解消

財務デュー・デリジェンスでも法務デュー・デリジェンスでも、現地調査に入る前に要求資料リストを対象会社に提出し、対象会社から開示可能な資料の提供を受けることになります。

なお、財務デュー・デリジェンスは、簿外債務や偶発債務を発見し、修正貸借対照表を作成することを主たる目的としています。これに対し、法務デュー・デリジェンスは、買収に関する法律上の問題点や、簿外債務や偶発債務の発見を主たる目的としています。このように、財務・法務デュー・デリジェンスでは、簿外債務や偶発債務の発見という点で目的が共通しています。

そのため、財務デュー・デリジェンスでも、法務デュー・デリジェンスでも、対象会社の簿外債務や偶発債務の調査を行うことから、要求する資料の中には重複するものが多く含まれます。たとえば、会社の構成に関する登記簿謄本、定款、株主名簿などは、当然両デュー・デリジェンスプレイヤーにおいて要求される資料となります。それ以外にも、就業規則、賃金規程、退職金規程なども双方が必ず要求する資料です。また、各種契約書や決算書等についても両デュー・デリジェンスプレイヤーによって資料要求されます。

もっとも、財務デュー・デリジェンスでは、決算書を作成する上で必要となった資料(たとえば、通帳や売掛債権の年齢表など)について要求しますが、これは法務デュー・デリジェンスでは要求しないことが一般的です。一方で、法務デュー・デリジェンスでは、法律上の問題点を調査するための資料(たとえば、許認可関係の資料やクレーム関係の資料など)について要求しますが、これは財務デュー・デリジェンスでは要求しないことが通常です。このように、両デュー・デリジェンスプレイヤーでは、多くの点で重複する資料を要求しつつも、その要求内容は必ずしも一致しません。

この点、資料開示を要求される対象会社としては、膨大な資料でありながら、必ずしも一致していない資料を両デュー・デリジェンスプレイヤーのために用意しなければなりません。これは非常に手間暇がかかる作業になります。対象会社の担当者も、本業の片手間にデュー・デリジェンス対応を行っていることが通常です。そのため、重複する膨大な資料を用意することを対象会社に課することにより、資料開示が大幅に遅れるという問題が生じることがしばしば見られます。デュー・デリジェンスプレイヤーとしても対象会社から資料が開示されなければ、自ずから調査の範囲は極端に狭まってしまいます。

このように、両デュー・デリジェンスプレイヤーが要求資料リスト作成の際に連携を行わず、各々独自に資料請求を行うことは、効果的かつ効率的なデュー・デリジェンスの実施を妨げ、ひいてはデュー・デリジェンス依頼者の利益を損なうことになりかねません。したがって、要求資料リストを作成する際には、財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスは連携を行い、できる限り対象会社の負担を減らすべく対処する必要があります。

②インタビューの重複解消

要求資料の重複と同様に、財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスでは、対象会社の担当者にインタビューを行う際に重複した質問を実施してしまうという問題が生じます。財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスとでは、調査目的や調査範囲は必ずしも一致しませんが、対象会社の簿外債務や偶発債務の発見という目的は一致しているため、インタビュー内容も多くの点で重複することになります。

対象会社の担当者としても、デュー・デリジェンス対応以外に通常業務が存在する以上、多くの時間を割いてインタビュー対応することはできません。通常、現地調査の一定の時間のみインタビュータイムが割り当てられます。そして、財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスのインタビューは、各々別の機会に実施されることになります。そのため、両デュー・デリジェンスで重複する内容をインタビューすることになれば、対象会社の担当者のインタビュー対応可能時間は限られていることから、各デュー・デリジェンスプレイヤーのインタビュー時間が減少することになります。

また、現地調査は、通常数日間の業務時間に限定されており、それは非常に貴重な時間となります。そして、現地調査において開示される資料は、コピーが禁止されることも多く、インタビュー以外にも資料調査にできる限りの時間を割かなければなりません。そのため、重複したインタビューを行うことは、現地調査での資料調査時間を減少させてしまうという問題も生じさせます。

このように、貴重な現地調査におけるインタビューにおいて重複した内容を尋ねるという事態を解消するため、財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスはインタビューリスト作成の際にも連携する必要があるといえます。

③調査結果の情報共有により深度ある調査が可能となる

財務・法務デュー・デリジェンスでは、簿外債務や偶発債務の発見という点で目的が共通しています。一方で、財務デュー・デリジェンスでは、決算書を主体として、これを裏付ける資料の収集及び確認という作業が中心となります。また、法務デュー・デリジェンスでは、登記簿謄本、議事録、就業規則等の規程、各種契約書などの資料を主体として、法的な問題点の調査業務が主体となります。

このように、財務・法務デュー・デリジェンスは、簿外債務や偶発債務の発見という目的において共通しますが、そのアプローチ方法に大きな相違があるため、得られる情報が異なることが一般的です。

たとえば、取引先との間で契約書が締結されていなかったとしても、財務数値上取引が確認できる場合、財務デュー・デリジェンスでは当該取引を認識することができます。これに対し、法務デュー・デリジェンスでは、もっぱら契約書から契約の事実を把握するため、契約書が存在しない場合には、その他の資料やインタビューの結果により把握できなければ、契約の認識を漏らしてしまうおそれがあります。

逆に、法務デュー・デリジェンスでは、退職金規程がなくとも過去の退職金支払い実績から、慣例として退職金支払義務が対象会社にあることを認識することがあります。一方で、財務デュー・デリジェンスでは、退職金規程の存在から退職金支払義務を把握するため、退職金規程が存在しない場合には退職金支払義務がないと考え、退職給付引当金を計上しないおそれがあります。

このように、財務・法務デュー・デリジェンスでは、目的において共通するところがあるものの、アプローチ方法や検討資料が異なることから、把握している事実が欠落してしまうおそれがあります。そのため、財務・法務デュー・デリジェンスメンバーが保有している情報を相互に共有することにより、相互の弱点を補うことにより、深度ある調査を実行する必要があります。

④報告書の重複・矛盾解消

すでに述べましたように、財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスとでは、対象会社における簿外債務や偶発債務の発見という目的は共通するものの、アプローチ方法や検討資料が異なります。そのため、両者の報告書においては、重複する内容が多い一方で、その内容において矛盾する箇所が生じるおそれがあります。

財務・法務デュー・デリジェンスの報告書は、各々多いときには100ページを超える分量となります。そのため、報告書に重複する内容があると、読み手に大変負担がかかります。また、報告書を作成するデュー・デリジェンスプレイヤーにも、多大な時間と労力がかかることになります。そのため、財務・法務デュー・デリジェンスプレイヤーが事前に打ち合わせを行い、報告書の重複箇所を解消することができれば、両プレイヤーの負担が軽減し、報告書提出期限が早まる効果や、タイムチャージが減額されるという効果が期待できます。

また、財務・法務デュー・デリジェンスプレイヤーが適切に情報共有することができていれば、両報告書において矛盾する箇所が生じるおそれはなくなります。

このように、財務デュー・デリジェンスと法務デュー・デリジェンスとが連携を図ることにより、デュー・デリジェンス依頼者にとっても、デュー・デリジェンスプレイヤーにとっても好ましい状況が生まれることになります。

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2015年08月28日(金)
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M&Aにおける『知的財産実務』の勘所
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