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買収後の支出

前提知識

通常、デューデリジェンスを実施する前に方針確認を行う意味で基本合意書が締結される。
一般的に基本合意書には法的拘束力が認められないが、買収価格の目安が記載されることがある。

DD実施前

  • 基本合意書締結後にデューデリジェンスの依頼を受ける
  • 基本合意書には純資産を参考にした買収価格の目安が記載されていた

DD実施後

  • 役員退職金規程により、買収後多額の役員退職金が支給される事実が発覚
  • 基本合意書に定められた買収価格の目安には、役員退職金の事実が反映されていない

対応

  • 買収後の役員退職金は「買収後に予定される支出」として買収価格に反映すべき
  • 売主は買収価格の目安を変更することに難色を示すも最終的には説得に応じた

ワンポイントアドバイス

デューデリジェンスによって思わぬディールイシューが発見されることは往々にして見られるため、できれば基本合意書には買収価格の目安は記載すべきでない。

詳細

通常、デューデリジェンスを実施する前に、売主買主の方針確認を行う意味で基本合意書が締結されることが多い。
この基本合意書は、LOI(Letter of intent)とか、MOU(Memorandum of understanding)などと呼ばれている。

一般的にLOIには法的拘束力が認められないように構成されている。
とはいえ、当事者の一番の関心事である買収価格の目安が、LOIに記載されることもある。
買主としては、デューデリジェンスの結果、どのような問題(ディールイシュー)が発見されるのか分からないため、たとえ目安であったとしても買収価格をLOIに記載したくないところではある。

一方で、売主としては、ディールイシューが発見されるおそれのあるデューデリジェンスの実施前に、交渉の目安となる買収価格をLOIに記載しておきたいと考えている。
このような両者の力関係により、LOIに買収価格の目安が記載されることがある。

デューデリジェンスを依頼されるタイミングは、LOI締結前から入るケースと、LOI締結後に入るケースがある。
LOI締結後に依頼を受けた際にLOIを確認したところ、買収対象会社の純資産を参考にした買収価格が記載されていたことがある。
非上場会社の簿価純資産は、デューデリジェンスの結果、かなりの頻度で価値の毀損が生じる。そのため、たとえ拘束力がないとしても、このような金額でLOIに買収価格の目安を記載すべきでなかった。

一般的に、買収価格は、EBITDA倍率法やDCF法によって算出された企業価値からネットデット(調整後負債)を控除し、更に買収後に支出が予定される金銭等を控除して定められる。
そして、デューデリジェンスを実施した過程で明らかとなったのだが、買収会社の役員は、買収後に皆退職し退職時に役員退職金規程に基づき満額の退職金を受領する意向でいた。

当然のことながら、役員退職金が支払われれば買収対象会社の現預金がそれだけ減少することになる。
このような支出は、「買収後に予定される支出」として、買収価格に反映させなければならない。買収対象会社の売主は、これらの役員退職金をLOIに定めた買収価格から調整されることにつき、かなり難色を示していた。
しかし、当該要求が認められないのであれば、ディールを白紙撤回するとの姿勢で交渉に臨んだ結果、これらの役員退職金(実際には損金計上により税負担が減るため、この税効果を考慮した金額)を買収価格から控除することで、M&A契約を無事締結するに至った。

デューデリジェンスによって思わぬディールイシューが発見されることは往々にして見られるため、できればLOIには買収価格の目安は記載したくないところである。

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