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簿外債務

前提知識

多くの国内企業では、未だにサービス残業が常態化している。
未払時間外手当は、通常B/Sに計上されていない。
賃金の消滅時効は2年であり、未払額が高額となるおそれがある。

DD実施前

  • 売主は未払時間外手当がほとんど存在せず、請求されるリスクは低いと説明
  • タイムカードから残業の事実は認められない

DD実施後

  • 議事録や稟議書から未払時間外手当の請求を受けた事実を発見
  • 経営者インタビューにより当該事実を追及し、未払時間外手当の全貌が明らかに

対応

  • 未払時間外手当の総額を見積もり、リスクレートを乗じた金額を簿外債務として引当計上
  • 未払時間外手当が引当計上されたことにより、その分買収価格が減額される

ワンポイントアドバイス

未払時間外手当の判断は労働法務に精通している必要があり、
その金額が従業員1人あたり1000万円近くなることもあるため注意が必要である。

詳細

国内企業では、往々にしてサービス残業という慣行が横行している。

そのため、買主としても、買収先の会社に未払時間外手当が存在することは、概ね予測している。
しかし、その総額や実際に請求されうるリスクの程度は、会社によって大きく異なっている。

一般的に、買収される企業の売主は、未払時間外手当の総額が少ないものであり、実際に請求されるリスクも低いと説明する傾向にある。
実際にあった件でも、「未払時間外手当はほとんど存在しないし、存在していたとしても請求された事案はない」との説明を売主から受けていたことがある。

デューデリジェンス手続は機密性が高いため、買収される企業の上層部しかデューデリジェンスが実施されていることを知らされないのが通常である。
というのも、デューデリジェンス実施時に一般社員が買収される可能性があることを知ると、リストラされることを恐れて社員に動揺が走ったり、株価に影響を与えることがあるからである。
そのため、サービス残業を行っている一般社員に対して、サービス残業の実態をインタビューすることは通常できない。
このことに加え、買収される企業の売主から、各社員のタイムカードや実際に残業代が支払われている給与明細などを参考資料として提出されると、未払時間外手当がないとも判断されかねない。

しかし、上記の事案では、取締役会議事録や稟議書などをつぶさに検討した結果、未払時間外手当の請求を受けた事案があることを発見し、そこを起点として経営者インタビューによって未払時間外手当の全貌が明らかとなった。

近年、未払時間外手当の請求が労働審判や裁判等の法的手続で争われるケースが増加傾向にある。
そのため、実際に請求されるリスクレートを引き上げて見積もり、その分を簿外債務として引当金計上することとなった。
その結果、買収価格も未払時間外手当の存在が勘案されることになった。
また、買主に対しては、買収後には賃金規程を改定して、未払時間外手当が発生しないようにするようアドバイスし、新たな制度を整備することになった。

未払時間外手当は、原則として2年間の消滅時効にかかる範囲で残存しており、個人の基本給額やサービス残業時間によっては、各人1000万円に近い簿外債務となる可能性も秘めている。
一方で、未払時間外手当に関する判断は、労働関連の法務に精通している必要があり、会計士側が苦手とする分野でもある。
そのため、この分野では、法務デューデリジェンスの結果を会計デューデリジェンスに反映する必要性が高いと言える。

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  • 「日本経済新聞」に掲載されました

著書

  • 公認会計士と弁護士が教える「専門家を使いこなす」ためのM&Aの知識と実務の勘所
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    「専門家を使いこなす」ためのM&Aの知識と実務の勘所

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